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執筆者の写真大坂

疲れすぎて眠れぬ夜のために

内田本は、頭が混乱している時に良いです。

何だか説明がつかないけれど焦りを感じる時に読めば、余分な力みがすっと抜けます。

「1ランク上の自分」を追い求め過ぎ、過剰な向上心に取り憑かれると、人は枯れる。

自分の潜在的可能性を最大化するためには、一方で自分の可能性に限界があることを知らなくてはならない。

今ここに居る自分より、自分の思い描く「望ましい自分」の姿に、より強いリアリティを持ってしまうと、自分の中の望ましくない部分に対し、非情で非寛容になってしまい、かえって「己」が縮んでしまう。

など、非情に興味深い思考だと思います。

本文の中で好きな件を一部ご紹介します。

「愛情を『試す』人がいます。無理難題をふきかけたり、傷つけたり裏切ったり、様々な試練を愛情に与えて、それを生き延びたものこそが「本当の愛」だというのは間違っている。

愛情は『試す』ものではなく、『育てる』ものです。丁寧に慈しんで育てることによって初めて勁さを持つようになるのです。」

愛も生きものですね。

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